内定と知っておきたい法律知識

給与や待遇面について

面接を無事クリアし、内定通知があったら入社を承諾する前に勤務条件や給与・待遇の不明な点を確認することを忘れないでください。具体的に給料について交渉するのもこれが最後のタイミングです。「入社します」と言う前に「面接で聞き忘れたのですが・・」と切り出すのが良いでしょう。その後、お互い雇用内容に納得したら雇用契約を交わします。法律上では労働者を雇い入れるときに一定の条件を書面によって明示する義務が使用者側に課されています。

  • 労働契約の期間
  • 就業場所及び従事すべき業務
  • 始業・就業の時刻、早出
  • 残業の有無、休暇・休日
  • 賃金決定、計算支払方法、締め日
  • 支払時期
  • 退職に関すること

上記が全労働者に対する文書交付が必要な条件です。ここにパートなどの短時間労働者には

  • 昇給の有無
  • 退職手当の有無
  • 賞与の有無

が加えて明示義務化されています。これらは”就業規則による”という形で省略することもできるので就業規則の確認は合わせて行うように気をつけてください。良く分からないままサインをするなどはもってのほかです。不明な点は担当者に必ず確認してからにしてください。ただ、現実問題小さな事業所ではこれらの準備がなされていないところも存在します。法的に問題がありますが、それを指摘しにくいことがほとんどかと思います。その時はキチンと口頭で面接時や求人広告の内容を確認・メモしてその日付と確認した担当者の名前も併せて保存しておいて下さい。

内定連絡への返事

内定とは”雇用契約の予約”のことを意味します。労働条件をきちんと確認して、使用者側も労働者側も合意して契約を結んで初めて採用決定です。単純に使用者側から合格通知しただけでは内定決定とも言わず応募者が入社の意思を伝えて初めて雇用の予約が成立します。電話で連絡が来ると、その場ですぐ「入社します。」と答えてしまいがちですがそんなに焦る必要はありません。もしまだ迷っているのであれば返事を待ってもらっても大丈夫です。とはいえ返事を留保するのは普通2~3日ぐらいでしょう。留保の仕方には注意してください。他の返事を待ってからという場合でも「家族と相談したい。」と答えておくと無難ではないかと思います。しかし相手側としても、いつまで待てばいいのかわからないでは困ります。「いついつまで」と期限を区切って待ってもらうようにしましょう。いつまでという期限は相手側との交渉によりますが、長くても1週間以内にしましょう。会社側にも都合があります。特に内定を出したからと言ってその答えをいつまで待つという義務はありません。あまり回答を長引かせると内定が取り消されても仕方ないでしょう。また電話ではなく郵送で採用通知を受け取った場合はまず受け取った旨を連絡しましょう。そのまま放置するのはとても失礼にあたります。受け取り連絡の上、返事の保留についてお願いするのが礼儀かと思います。そして、いろいろ考え辞退する場合は出来るだけ早めに連絡を入れてください。この場合については特に詳しく説明する必要はありません。「いろいろ考えた末・・」で十分かと思います。間違ってもそのまま返事を放置するなどもってもほかです。社会人としても最低ルールは守り、きちんと連絡するようにしましょう。

初出勤の大切さ

長い長い転職活動を終えて、いよいよ初出勤です。新しい職場で新しい人と出会い、これから長く良い関係を築くためにも初出勤はとても大切です。そして職場における習慣は様々です。通常のまたは以前の感覚で出勤するのはとても危険です。やはり早めの出勤が基本となるでしょう。初出勤においては、上司や同僚へ挨拶をしたりどこに何があるのかの確認、荷物やデスクの整理など始業前の準備に時間がかかります。また実は出勤時刻前にミーティングをするのが当たり前だったりデスクの拭き掃除が当たり前だったりと職場の慣例もいろいろです。「だいたい30分前にいけば良いだろう。」と勝手に判断するのも危険です。できれば前日にでも採用担当者の連絡をして何時ぐらいに出勤すればいいか確認するのがお勧めです。また、服装についても迷うところかと思います。私服勤務であれば上司と共に得意先などにあいさつに行くことをイメージしてビジネスの場にふさわしく控え目なものを選ぶのが良いでしょう。ただし業界によってはカジュアルな場合もあるので、同職種の人を参考にすればよいかと思いますがそれでもキチンとした印象のものを選ぶに越したことはありません。服装は職場に馴染んでから、だんだん合わせていけば良いかと思います。また制服貸与の場合でも、面接に準じるような服装で出勤するのが望ましいでしょう。特に靴はそのまま私服のものを使用することが多いので注意しましょう。それから初出勤までの準備についてもぬかりのないように心がけてください。電車時間の確認や提出書類の準備、業界に関する事前研究などはもちろんできれば入社前にその会社の就業規則には目を通しておきたいものです。初出勤の前日になって、書類が揃っていないことに気がついても準備が間に合わないかもしれません。悪い印象を与えないよう、また落ち着いて出勤できるよう早め早めに準備しておきましょう。

有給休暇・最低賃金について

一般的に”有給”や”年休”と言われる年次有給休暇について簡単に説明したいと思います。働く者にとって現実に取得しやすいしにくいという問題は別にして法定事項を知っておくことは大切かと思いますので覚えておいてください。年次有給休暇は、一年間継続して労働者として在籍し(初年度は6カ月)全労働日の8割以上の出席で法律上当然に与えられる休日のことです。”法律上当然に”ですから、ここに使用者の裁量はありません。与える時期を変更する権利が存在するだけになります。正社員であれば、初年度は10日間で、毎年少しづつ増えていきます。年度で持ち越せるのは20日までになります。ただしこれは雇用形態や、試用期間によって変わるので必ず就業規則にて確認するようにしてください。また、パートなどの短時間労働者であっても一定時間以上の勤務実態があれば有給は発生します。労働する時間の長さによってもともと有給がなかったり、付与される日数が正社員より少なかったりしますが「パートだからみんな有給はない」と勘違いしている人も多いようです。自分の場合はどうなのか会社に確認するようにしましょう。また給与に関する法律には、最低賃金法という賃金の最低ラインが定められたものが存在します。特定の産業のほか、地域ごとに一時間あたりの最低額が決まっています。厚生労働省のHPなどで自分の働く地域のものは是非確認しておいてください。日給や月給であれば単純に法定時間で割ったものを見ますが交通費や残業手当など含まれないものもあります。詳しく知りたい場合は労働基準監督署に確認してみましょう。

妊娠・出産に関する法律

女性労働者ならば、やはり気になるのが妊娠・出産に関する法律です。代表的なものに”産前・産後休業”と”育児休業”があります”産前・産後休業”は法律上当然に産前・産後の女性労働者に与えられる休みのことを言います。原則として産前休業は、出産予定日の6週間前からですが本人からの申請によるため、医者にも止められず労働者が大丈夫と言うなら前日まで働いても問題ありません。一方産後休暇は、出産の翌日から8週間ですがこれについては本人の申請に関係なく与えなければなりません。もし、本人が早く働きたくても6週間は就業禁止、6週間目以降は医者の承諾があれば働くことが出来ます。ちなみにこの”産前・産後休暇”は有給ではありませんが健康保険のほうから一定割合の支給がされる場合がありますので確認してください。そして原則一歳未満の子供の養育のための休業のことを”育児休業”と言います。産休は女性労働者のみですが、こちらは男性労働者も取得できます。この休業は就業規則に関係なく、入社一年以上など一定の条件のもと従業員からの申し出により必ず与えられるものです。これは正社員に限ったものではありませんので、自らの雇用条件を確認してみましょう。この育児休業についても、会社が恩恵的に有給とする場合もありますが基本は無給です。休業期間中の生活保障については、雇用保険から一定額の給付がなされますが支給条件が決まっていますので確認するようにしてください。ちなみに、健康保険は年金事務所内の協会けんぽの窓口で雇用保険についてはハローワークで相談出来ますので分からないことは聞いてみましょう。

社会保険について

転職のときやはり気になるのは社会保険のことです。会社ごとこの加入状況は異なり、また雇用形態によっても変わります。そして事実、年金や医療負担・万一の時の保障・失業保険などに影響します。一般的に求人広告などで”社保完備”というのは以下の4保険を指します。

  • 厚生年金保険
  • 健康保険
  • 雇用保険
  • 労災保険

これらは政府管掌保険またはそれに準ずるもので要件を満たす労働者を雇用する場合に事業者は必ず加入しなければいけません。同様に労働者も加入要件に当てはまる場合はアルバイトやパートであっても強制加入になります。今回はこの4保険について最低限おさえておきたいことについて簡単に解説したいと思います。この4保険のうち厚生年金保険と健康保険を狭義で社会保険といいます。まず厚生年金保険ですが、これは国民年金と合わせて老後に年金を受け取る際の金額に直接影響するものです。国民年金は原則20歳以上は全員強制加入ですが、厚生年金保険は労働者が加入するものになります。厚生年金に加入するということは、自動的に国民年金にも加入していることになるので国民年金のみに加入した場合よりも当然受給額が多くなります。しかも厚生年金支払額は労使折半なので、労働者の負担も少ないですが逆に言うと会社側には経費がかかるものと考えてください。次に健康保険ですが、これはほとんどが厚生年金とセットで加入します。加入要件や保険料負担の面でも厚生年金と良く似ています。労働者以外の人が加入する国民健康保険との違いは扶養者も一緒に加入することが出来る点です。当然ながら、健康保険のある会社で加入する方が安い保険料で場合によっては国民健康保険以上の保障が受けられることもあります。

パートタイム労働法について

続いて労働保険ですが、これは労災保険と雇用保険のことを指します。労災保険とは、仕事中や通勤中に起きた事故や災害などに対する補償について定めた保険です。仕事中のけがなどは労働基準法上、事業主の責任で治療・保障を行うことになっていて通常の病気・けがのように健康保険が使えません。なので、事業者にお金がないから保障が出来ないなんてことのないよう政府管掌の保険が作られました。一人でも労働者がいるならば、その立場に関係なく当然強制加入です。日雇いもアルバイトも関係ありません。そして、この保険に関する保険料は全額事業者負担になります。また雇用保険は加入に一定の要件がありますが、週20時間を超える30日以上雇用期間の予定のある労働者は原則強制加入です。会社側も労働者も入りたくないから入らないとは言えません。雇用保険は失業の場合の給付を始め、育児・介護休業、教育訓練給付など労働者にさまざまな給付のメリットがあります。保険料については事業者と折半(厳密には事業者のが多いんですが)になりますが、雇用保険料については他の保険料に比べて非常に低いのが特徴です。以上のように社会保険に加入することは労働者にとってはメリットが大きい分、事業者にとっては経費がかかるものです。法定事項なので、要件に該当するのであれば加入するのは当然なのですが現実問題としては必ずしも全ての会社がキチンと加入しているわけではありません。あえて労働時間を調整したり、求人情報に完備と書きながら加入するのは正社員のみだったり現実は求人に書かれている通りでないことも多いです。面接段階で又は内定承諾の段階で、社会保険の条件についても改めて確認することをお勧めします。